2014年11月19日

主人公の初老の紳士は

名作と名高い、小津安二郎監督の最後の作品。
私が生まれた1962年に発表された、ということが個人的に嬉しい。
話に聞いたり、細切れのニュース映像などを見て、
頭に想像していたあの頃(昭和中期)の康泰導遊
日本の姿の一つがじっくりとそこにあり、懐かしい気持ちになった。
笠智衆や中村伸郎から滲み出る、知性と気品が心地良かった。

のんびりとして、淡々とした日常を描いた、落ち着いた映画である。

けれども、そこには諸行無常という現実の厳しさや、
生きることの様々な凄みが、凝縮して隠されている。



主人公の初老の紳士は、地位的にも経済的にも安定した、
中流家庭の主康泰導遊
妻を早くに亡くしたものの、今は、長男が結婚して独立し、
24歳の長女と大学生の二男と、三人で暮らす、
満ち足りた幸せのただ中に居る。

けれども、恩師父娘に再会し、美人で可愛かったその娘が、
亡き母親代わりに、父や家事を支えて、
婚期を逃してしまう不幸を、その姿に見て、
急に長女の将来に不安を抱き、
縁談を急いで、嫁がせてしまう法國自由行

そしてめでたく嫁がせた日の夜、まるでお葬式のような気分に――
長女のいない真っ暗な二階の部屋を見上げ、
孤独の底に―― 陥る。



栄養と滋味と共に、どこかほろ苦さを含む秋刀魚香港如新

人生は(出世や家庭に恵まれて幸せな人であったとしても)、
ほろ苦いものなのだ、という絶妙なタイトル。


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